帯那の自然と人の優しさに包まれながら、夢に向かう日々。【後編】

デイビッド プルーカさん

Obina Brewing代表

アメリカ出身。61歳。静かで自然豊かな場所に暮らしたいという思いから、20年ほど前に東京から甲府市下帯那に移住したデイブさん。アメリカンスタイルのクラフトビール醸造所「Obina Brewing」を設立し、帯那の地で自ら育てたホップを使ったビールを醸造しています。【後編】となる今回は、デイブさんが感じているこの地で暮らす喜びや甲府の魅力、教育者として考えるこの先への思いなどについて紹介します。

魅力あるクラフトビール文化を築くために。

「私はずっと教育に携わってきたので、教育に対する強い思いは今も変わらず持っています」とデイブさん。いずれは大学生たちにビールのつくり方を教えて、それで単位が取れるような仕組みができるのが理想だと言います。「山梨県内には近年小規模なビール醸造所がいくつも設立され、おそらく20社ほどあると思います。人口に対してビール醸造所の数が多いと言えるでしょう。しかも東京から近く、販路を広げていく上でも有利なので、山梨のクラフトビールの可能性は非常に大きいと思っています。その可能性をより広げていくための教育をここで実現するのが私の目標のひとつです。『帯那ビアーアカデミー』ができたら嬉しいですね。そしてワインと並び称されるクラフトビール文化を山梨に確立していきたいです。そのために私もずっと勉強し続けていきたいと思っています」。

お互いに助け合うことで深まっていく友情と信頼。

「山梨の人たちは、とてもフレンドリーなので顔を見て話をすればすぐ友だちになれます。たとえば焼き鳥屋で隣に座った人と話をする中で広がったネットワークもあります。それに甲府には教師をするために来ている外国人も結構多いので、外国人とのつながりもつくりやすいです。これから移住を考えている人で特に若い世代の人は仕事をどうしていくかという問題もあると思います。その解決にはコネクションやネットワークを早くつくることが重要です。人と出会い、つながって、『私はこれがやりたいです』と説明してみてください。私も帯那をはじめとする甲府のみなさんに助けていただくことができました。でもずっと助けて!だけではダメです。自分からも新しい友だちを手伝うことが大切です。お互いに助け合うことで深い友だちになれると思います。その点、看護師でもある私の妻は持ち前の明るい性格で誰とでも笑顔でつながり、地域のコミュニティにすぐに馴染んで信頼関係を築いていきました。本当に素晴らしいと感じています」。

昔ながらの人の交流と、かけがえのない自然が与えてくれる穏やかな時間。

「私が移住する時、甲府市役所での各種手続きがとてもスムーズで職員の方も親切に移住者が必要とする情報を提供してくれました。英語で対応してくれるのでわかりやすかったですし、庁舎もきれいで驚きました。それに子育て支援などが充実している面にも安心感があります。これから甲府市に移住を考えている同じ外国人も安心して移住してくることができると思います。」

デイブさんに、山梨県で好きな場所を聞いてみると「帯那がトップです!」と即答してくれました。「私は帯那に来てから深く眠れるようになりました。ここはとても静かで聞こえてくるのは自然の音だけだからです。私は田んぼのカエルや、虫や野鳥たちが奏でる自然のシンフォニーが大好きです。子どもたちは、蛍やとんぼを虫取り網を持って追いかけたり、畑仕事を手伝って収穫したものを食べたり、いつも自然と共に過ごしています。料理の途中で足りなくなったお砂糖を近所の家に借りに行ったり、おすそ分けをもらったりするなど、この地域で昔からずっと続いてきたライフスタイルも大好きです。田舎暮らしと言っても甲府の市街地まで車ですぐに行けるので生活に不便さを感じることはないですよ」と話すデイブさんは多くの人に帯那の魅力を伝えていきたいと考えています。

「観光やイベント参加の際は家族で来る方が多いので、私はここに子どもたちのための遊び場をつくりたいと思っています。大人も子どももみんなが帯那でリラックスしながら楽しい時間を過ごしてくれたら嬉しいです」。そう言って微笑むデイブさんのすぐ近くには明るい笑顔の奥様と元気に遊びまわる子どもたちのかわいい姿がありました。

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