大好きな甲府を拠点に、
人の心を動かす音楽を届けたい。

魚田愛音さん(うおた える)
19歳 山梨大学1年
甲府市出身
ピアノを弾く母親の膝の上に座り、幼い頃からピアノに触れていた魚田愛音さん。2歳からピアノ教室に通うようになり、当時すでにコンクールに出場していた兄の姿を見て、幼稚園児の時には自らの意志でコンクール出場を目指し頭角を現す。令和4年に開催された「第12回日本バッハコンクール」では、当時中学生でありながら飛び級で高校生部門に出場し、金賞・第1位・グランバッハ賞を受賞。他にも日本演奏家コンクールなど、数々のコンクールで優秀な成績を収めている。令和4年度〜令和6年度には「次世代甲府大使」を務め、現在は教師を目指し山梨大学で学びながら、演奏活動を続けている。
生まれてすぐから、いつもピアノの音色とともに。

ピアノを弾かれるお母様の膝に座り、物心がつく前から、ピアノに親しんでいた魚田さん。2歳の頃から本格的にピアノのレッスンを始め、これまで数々のコンクールに参加し、優秀な成績を収めてきました。令和7年10月に開催された「第27回日本演奏家コンクール」においても、ピアノ部門アマチュアの部・第1位となり、併せて芸術賞、鎌倉パークホテル賞も受賞されました。同コンクールは、音楽演奏に励み自ら練磨・研鑽している人に対し、演奏鍛錬と評価の機会を提供することにより演奏家の育成や演奏力の向上に資することなどを目的に開催されているものです。「私がエントリーしたアマチュア部門は年齢制限に上限が無く、経験豊かな参加者が多いので、1、2次予選を経て本選へ進む中で多くの気づきや学びがありました」と話す魚田さんが、コンクールの演奏曲に選んだのは、フランツ・リストの『エステ荘の噴水』でした。「小柄な私は手が小さいので、自分の強みである高音域の音色の響きやテクニックが生かせる曲として『エステ荘の噴水』を選びました。小さい音を出すところが多い曲なので、指のトレーニングを毎日欠かさずに行い、小さい音をしっかり出す練習を繰り返しました。審査員の方からいただいた講評にも『音が綺麗、小さい音も綺麗』とのコメントがあり、自分の目指していたところが高く評価され、とても嬉しかったです」とコンクールを笑顔で振り返ります。

(当時生後8ヶ月)
支えてくれる人たちへの感謝の想いを忘れずに練習を重ね、さらなる高みへ。

数々のコンクールで優秀な成績を収めている魚田さんにも悩んだ時期があったと言います。「中学生の頃、練習をしてもコンクールで結果が出せず、どうしてなのかと悩み、何のためにピアノをやっているのだろうと考えてしまった時期もありました。ですが、私の演奏を聴いてくださった方から『すごく良かった』『感動した』という声をいただき、その言葉に応えていきたいと思い練習をがんばり続けたんです」と魚田さん。辛い時期を乗り越えた先のご自身の変化を伺うと、「毎週東京までレッスンに通わせてくれている母や、コンサートに来てくださる方からのご意見を大切にしようと思いました。自分ひとりだけでは、ここまで続かなかったとあらためて実感し、支えてくれる人たちへの感謝の想いを常に感じながら、練習するようになりました」。毎年3つ〜4つほどのコンクールに出場している魚田さんですが、最近は毎回全国大会まで行くことができています。そのように実力が安定してきた背景には、どのような思いや変化があったのでしょうか。「高校3年生の時にピアノの先生が変わったんですが、その先生が『全て肯定』してくださる方で、私がやりたい表現を受け入れてくれ、それを生かしてさらに良い演奏をするには、こういう表現もあるよね、と導いてくださいます。そのおかげで私は以前より自分の感情を表現することに抵抗がなくなり、人前でも堂々と弾けるようになりました」と凜とした表情で話してくれました。
人の心を動かす音楽を届けるために。

全部を肯定してくれる先生との出会いは、魚田さんにとって、ピアノに向き合う想いのひとつの転機になりました。先生からいただいた言葉で特に印象に残っているのは『あなたの好きなように弾いていいよ』だと魚田さんは言います。「私は引っ込み思案なところがあるのですが、自分の好きな表現をしていいよと言われた瞬間に、ピアノを通して自分の想いだったり、作曲家がどういう意図で作曲したのか自分なりに解釈したりして、それを聴いている人に届けることが大切だと感じたんです。それからは毎日練習をする中で、どうすれば今以上に人の心に届くかというのを意識するようになりました」。
そんな想いでピアノに向き合うようになった魚田さんに嬉しい出来事がありました。「昨年12月のベーテン音楽コンクールの全国大会の際に、ひとりの観客の方が『とても感動しました』と声をかけてくださったんです。その時『音楽は人の心を動かす』ということを実感し、私はピアノをやっていて本当に良かったと心から思いました」。
幼少期からバッハが好きで、小学3年生の時に初めて参加した日本バッハコンクールの全国大会で金賞を受賞した経験もあり、今でもバッハが好きでよく弾いているという魚田さんにその魅力を聞いてみると、「音楽の基本に則って作曲されていて、あまり感情的な部分がないのがバッハの作品の特徴であり魅力だと思います。感情的にならないところが私に似てるなと感じています」と微笑みます。魚田さんが、この日披露してくれた『エステ荘の噴水』の音色、それはまさしく人の心を動かす美しい響きでした。
【後編】では高校時代に次世代甲府大使として活躍した魚田さんの甲府に寄せる想いや将来の夢などを紹介します。

