
中野シロウさん(58歳)神奈川県出身
プレイセットプロダクツ代表
KOFUプロモーションデザインディレクター
日清食品チキンラーメンの「ひよこちゃん」や日清シスコの「シスコーンファミリー」など、誰もが知っている人気キャラクターのデザインをはじめ、アニメーション制作、企業の商品企画やプロデュースなど多彩な分野で活躍するデザイナーの中野シロウさん。2020年に清里に移住し、清里駅前や旧現代美術館などの不動産を購入後リフォームして新規店舗やミュージアムホテルをオープンさせ、「清里をサブカルチャー・ポップカルチャーの街に!」と、クリエイターならではの視点で清里の新たな価値をつくり出しています。
「甲府ジュエリー」の認知度と価値を高め、ジュエリー産業の発展につなげていく。

KOFUプロモーションデザインディレクターを務めている中野さんは、そのクリエイティブな視点や発想力で、甲府市のブランディングやプロモーション戦略の強化を図り、甲府市の新たな魅力創出に向けた取り組みにも尽力されています。そのひとつに地場産業であるジュエリーについての取り組みがあります。
「甲府ジュエリーのブランド力をさらに高めて、国内外にその魅力を発信していくために、甲府市では『甲府ジュエリー認定制度』の設立を進めています。僕も認証ロゴマークのデザインをさせていただきました。ロゴマークは『ユーザーに届いた時に喜んでもらえるもの』『生産者が誇りに思い、使用したいと思うもの』『ジュエリーに関わる人たちが、そのシンボルに集えるもの』『歴史を繋ぐブランドとして相応しいもの』という思いを込めてデザインしました。デザインをする上で重きを置いたところは、流行などは入れずに『時代が変わっても通用するもの』ということです」。中野さんは甲府のジュエリー産業の将来も視野に入れたプロモーションについてもアイデアがあると言います。「僕はジュエリー産業の担い手についても重要視しています。ですから子どもたちが将来ジュエリー産業に入りたいと思うきっかけづくりとして、アニメーションを制作してみたいという考えがあります」。また、『甲府=ジュエリー』というイメージが繋がっていないという認知度の低さにも課題を感じていると中野さん。「甲府ジュエリーの価値と認知度を高めていくためには強いブランド力を打ち出していくことが必要です。デザインの力でそういった部分にご協力させていただきたいと思っています」。
甲府ならではのブランドを創出し、幸せな雰囲気が感じられる街に。

「清里は東京より1日の時間が2時間くらい長いように感じられ、暮らしに余裕がありますね。僕は朝5時くらいに起きて絵を描き始め、お昼頃には終わらせて午後は打ち合わせをしたり、冬は暖炉の火を見ながら、夏は外の景色を眺めながら、好きなお酒を飲んだりしています」と笑う中野さん。時には甲府の街にも出かけ、文化や人の温かさに触れることもあるそうで、甲府には清里とはまた違う魅力を感じていると言います。
その中でまず最初に面白いと思ったのが中心街にある『路地』だったそう。「甲府は特別な昭和感がある街ですよね。昔ながらの路地が残っているのも面白い。最近は小江戸甲府花小路ができたり、いろいろ変わってきている良い街だという印象を持っています。ですが、甲府駅を降りた時に、『ここが甲府だ』とパッと目に入るものがないのが残念です。看板とかデザインとか、視覚的なものから入ってくるイメージは大きいですから、デザインで発信していくブランディングを進めていく必要があると思っています」。
甲府の魅力をPRするひとつの手段として『お酒』があると中野さんは考えています。「山梨は良質な水の産地ということもあり、ウイスキー、日本酒、ビール、ワインなど多彩なお酒がつくられていますが、そのことが県外ではあまり知られていません。そこで、山梨の県庁所在地である甲府市から、山梨のお酒の魅力を発信していったらいいのではないかと考えています。山梨県中のお酒を集めた通りやスペシャルなお店をつくったり、甲府駅北口で開催されているようなお酒に関するイベントをもっと街中に拡散していったりすれば観光振興にも繋がりますし、『何だか幸せそうな街だな』と感じてもらえる雰囲気が生まれて来ると思います。山梨県の魅力あるブランドが甲府に集まることで、それが甲府のブランドになっていくのではないでしょうか」。
楽しかったという記憶が残る街をつくり、その魅力を持続させていく。
甲府は東京や神奈川など首都圏から近く、今後リニアが開通することなども考えると未来は明るいと中野さんは言います。「東京近郊ではなかなか大きな土地を探す事が難しくなりつつあります。甲府にはまだまだ土地がいっぱいありますから新たな開発が十分に可能です。また、湯村温泉や昇仙峡などの素晴らしい観光資源を活かすことができるのも強みだと思います」。さらに旅の楽しみのひとつであるお土産など、『物』が持つ力も大きいと中野さんは続けます。「『これは甲府のものだ』と、明らかに認識されるような名物をつくる、そういうブランディングが必要だと思っています。もっと付加価値をつけ、甲府にしかないブランドをつくるべきだと思っています。そのためにはキャラクターをつくるなど、デザインで発信していくことが大事になってくるので、僕はそこのところをしっかりやっていこうと考えています。甲府が、訪れてくれた人々の中に『楽しかった』という記憶を残せる街になっていくといいですね。ですが、たとえブランディングが成功したとしても、そのままにしていたら20年位で廃れてしまいますから、新たなブランドを生み続けていかなければなりません。そのためにも新しい発想を持って何かをやろうという人が来たくなるような、住みたくなるような、そんな街にすることが必要なんです」と未来を見据えます。「僕は『こうふ歳時記』のポスターの制作も手がけています。このポスター自体もひとつのブランドになるといいなと思っています」。KOFUプロモーションデザインディレクターとして、中野さんは今、クリエイターの感性で多角的に甲府の魅力を捉え、デザインの力でブランディングを進めています。

「こうふ歳時記」秋ポスター



